活動報告

議会・委員会活動

6月定例県議会中の農林水産委員会で質問「スマート農業」について

県内農業生産者のスマート農業導入状況と県の導入支援成果また導入課題と今後のスマート農業取組の強化について

スマート農業の導入促進についてお伺いします。以前、この委員会でもスマート農業の取組の進捗については報告があったと思いますが、今日は現委員での最後の委員会になるかと思いますので、再度確認のために質問させていただきます。

県では、広島県に適応したスマート農業技術の確立に向けたプロジェクトとして、広島型スマート農業推進事業、愛称としてひろしまseedboxを令和3年度から令和5年度の3年間で9プロジェクトを進めておられます。

新しい広島県の農業を目指すひろしまseedboxにより、プロジェクトに参画した企業に対して、県では実証の資金や実証フィールド、技術支援など様々な支援を行ってきていますが、そこで既に開始当初の令和3年から3年経過したプロジェクトでは、事業化に向けて経営モデルの普及にも取組されているようですが、ひろしまseedboxの進捗状況や成果についてお伺いします。

(スマート農業担当監)
これまでのひろしまseedboxの進捗状況につきましては、令和3年度開始のテーマは、スマート農業技術を導入した経営モデルの確立、令和4年度開始のテーマは、実証事業、実証技術〓建築〓に向けた試作機、いわゆるプロトタイプの作成、令和5年度開始のテーマは計測データの収集、分析及び技術改良の方向性の整理を行ってまいりました。

  このうち令和3年度に開始したテーマにつきましては、普及するステージに移行し、技術の波及につきましては、ホウレンソウや小松菜は実証フィールドのある安芸太田町以外の広島市や庄原市、北広島町などの産地、カット用青ネギは実証フィールドのある東広島市、安芸高田市以外の呉市や庄原市の産地、ブドウは実証フィールドのある世羅町以外の三次市や福山市の産地など、県内のあらゆる産地を対象に、技術の実装を進めることとしております。

  具体的には、農業者に技術の体験をしてもらい、使い方を理解することが重要であることから、各産地の農業者に技術のトライアル利用や生産性を上げるためのデータの見方についてアドバイスする専門家を派遣して、伴走支援を行うこととしております。

  なお、ブドウの粒数をカウントするアプリでは、広島県で200件を超えるダウンロードがあり、農業者から使いにくい機能や表示があれば大学へ伝え、改善を行っているところでありますが、十分に周知できていない課題もあり、引き続き技術習得に向けて対応を続けているものでございます。

(尾熊)
県内のスマート農業の導入促進は、令和3年度のこのプロジェクトだけでなく、毎年のように予算を計上され、継続的に行われております。スマート農業の促進は継続的に行うことが重要でありますし、まだ道半ばというところだと思いますが、実際スマート農業を導入する生産者は、今後増えていかなければいけないと思います。
・生産者のスマート農業の導入が進み、生産量が増えるなど成果が出ている農作物の種別があるのかお伺いします。
・スマート農業を導入する生産者が増えている農作物の種別があるのかお伺いします。
・逆に生産者がスマート農業導入しにくい農作物種類や、導入する上で生産者の課題とかあればお伺いします。
(スマート農業担当監)
スマート農業の成果と課題について何点かお問合せがございました。スマート農業の導入、成果については、労働時間が減り、作業効率が高まるもの、生産性や品質が高まり、生産性を向上させるものと大きく2つに分けられます。

  まず、御質問の生産性の向上が表れている農作物としては、実証事業の成果ではございますが、温度や土の中の水分量、湿度、CO2濃度など、植物の生育に必要な要因をコントロールが可能となるモニタリング機器と環境制御装置を導入した小松菜、ホウレンソウ、トマト、アスパラガスなどがございます。

  また、本県のスマート農業の導入状況については、担い手の経営体数の割合で調査しており、令和2年度は6.4%、令和3年度は7.1%、令和4年度は9.1%で、右肩上がりで推移しております。

  このうち導入技術別を申しますと、主に水稲での農薬や施肥を散布するドローンが最も多く、次に水稲や施設型野菜における農作物の生産性の労務管理や農場の管理状況を把握するクラウド型生産管理システム、次に施設型野菜におけるハウスの温度や湿度などを観測するモニタリング機器の順に導入されており、幅広い農作物にスマート農業が利用されております。

  一方、御質問の生産者にとって導入が困難となるものとしては、ロボットコンバインや自動運転田植機、収穫ロボットなどがあり、この導入コストが高額で、かつその操作には専門的な知見を要するといったことや、まだまだ十分に機能や効果について周知されていないなどの課題があると認識しております。

(尾熊)
スマート農業が進んでる生産者、また農作物もあるし、また逆に導入コストが高くて、また技術的な面で導入が難しいという、そういう生産者、また農作物があるということでお伺いしました。

  そういった中で先日、25日付の農業新聞では、6月14日に成立したスマート農業技術活用促進法を政府は10月1日に施行する方針だと報道がありました。農家の担い手不足や農業法人の人手不足が深刻化する中で、省力化や生産性を上げて、生産量を増やし、生産者が農業収益を上げるための先端技術を備えた自動化した農業機械の導入を促すこの法律は、日本政策金融公庫の長期低利資金は据置期間が5年、そして償還期限が25年で、生産者にとってはスマート農業の機会だけでなく、園芸ハウスや畜舎の建築などの設備投資の支援も受けられ、導入時の融資とそれから法人税、所得税の特別償却も認められるということで報道がされておりました。

  そこで、スマート農業法の10月施行により、県が進めるスマート農業の導入がますます進むと思われますが、スマート農業法による効果について、県ではどのように受け止めて、今後の施策をどのように考えられているのかお伺いします。

(スマート農業担当監)
新法であるスマート農業技術活用促進法は、スマート農業技術の活用や開発などについて、農業者や企業者に対して、日本政策金融公庫による長期低利融資や税制特例等の支援措置を講ずるものです。

  具体的には、スマート農業技術に合わせ、圃場の形状や栽培方法を見直し、新たな生産方式を導入することで、生産性の高い農業を実現するための取組やスマート農業技術の開発に加え、スマート農業技術は先ほども申し上げましたとおり、導入コストが高額で、かつその操作には専門的な知見を要することも多いため、例えば高額な機器を導入しなくても、農業者の作業を受託するためのスマート農業利用サービスや高度な知識、技術を有する人材を農業現場に派遣するサービスを支援するスマート農業技術活用サービス事業者に対して税制融資等の支援措置を講ずるものです。

  現在、国からは具体的なものはまだ示されておりませんが、本県の活用方法、方向性としては、ひろしま型スマート農業推進事業において、事業期間の3年間では目標には達しなかったものの、中山間地域に適した優れた技術でさらなる開発が必要なものへの支援や高齢化が進む中小家族経営の労働負荷を軽減するスマート農業技術活用サービス事業者への育成支援が期待できることから、さらなるスマート農業技術の普及に向け、新法の活用について検討してまいりたいと考えております。

要望(尾熊)

スマート農業法という新法を活用することで、県内の農業生産者の収益が上がる、また担い手、そして人手不足が解決できる、ということをしっかりと支援いただき、今日の生産等概況についても、生産量が増える農作物に続くそういった部分で、先日も部長から答弁ありましたけど、攻めの農業をしっかり徹底していただくよう、スマート農業を活用していただきたいということを要望して終わります。

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